世界規模で電気自動車の普及が進んでいます。これまでガソリンなどの燃料を使うレシプロエンジンは規制でクリーンになっているとはいえ、環境汚染につながる「排気ガス」を産出していました。
環境に敏感な欧米ではレシプロエンジンに対する規制がさらに厳しくなっていくことを踏まえ、廃棄物や副産物を出さない電気自動車(EV)の開発を進めています。
否応なく、これからの日本の車社会もEVに切り替わっていきます。EVの持つ基本的な特徴や購入の際の精度、現在、日本で購入できるEVについて説明します!
電気自動車のボンネットに手をかけるトーマス・エジソン、1913年。
National Museum of American History(引用元)
モーターとバッテリーで駆動するEVの歴史はけっして新しいものではなく、というより一般車の販売はレシプロエンジン(ガソリンエンジンのこと)より早く1880年代に始まっています。
黎明期より加速や最高速度に優れた性能を発揮していましたが、航続距離の短さと充電の手間がネックになり、燃料の安いガソリンを使ったレシプロエンジンの方が経済性に優れていたことからやがてEVは一部で使われるだけになりました。
しかし現在、蓄電性に優れたリチウムイオン電池と効率性の高いモーターが開発されたことや世の中が廃棄物や副産物を生み出さないゼロエミッションに向かっていることが相互作用として働き、EVの普及を促しています。
すでにヨーロッパ諸国やインドなどは2030〜2040年にかけてレシプロエンジンだけの車の販売を禁止、EVやHV(ハイブリッド)のみ販売が許される政策を打ち出しています。国内ではまだ期間こそ決まっていないものの、トヨタは自主的に2040年までディーゼルエンジンのみの車の販売を中止すると発表しています。
EVはレシプロエンジンやHVのように構造が複雑ではないことから、現在は古くから続く自動車メーカーだけでなくテスラのような新興メーカーも市場に参入しています。
世界規模で見るとすでに、ボディサイズや航続距離などタイプ別のさまざまなEV車種が販売されており、一般消費者の選択肢が増えています。
日本は現在、EVよりも圧倒的にHVが売れていますが、HVではゼロエミッションを達成することができないため、EVへ移行することは必至となります。ただし、進化したといってもEVは現段階でさまざまな問題も抱えています。それらを早急に解決することがEV普及のカギとなるでしょう!
モータリゼーションを大きく変える未来の車、EVには良い点ばかりではなく改良が望まれる点も数多くあります。現段階におけるEVのメリットとデメリットを解説します!
メリット
EVは排気ガスを出さないので環境を汚染することがありません。長期的に見れば消費者の利益となりますが、やはり短期的、目に見える効果がなければ消費の促進は望めません。その短期的なメリットになるのが維持費の安さです。
端的に言うと、夜間に充電すればおよそ100km分の電気代は「140〜150円」で済みます。またレシプロエンジンのようにオイルを交換する必要がなく、構成部品も少ないので消耗品交換の機会も少なくなります。
EV本体のメリットとしてはモーター駆動による静粛性があります。コンパクトカーでも高級車並の静かさが実現できるので車内のエンターテイメント性が大きく変わります。その他、加速が良くなるので設計次第ではスポーツ走行も楽しめます。
デメリット
EV初期の頃はバッテリーの耐久性を不安視する傾向がありました。しかし現在は蓄電量が多いリチウムイオン電池のおかげで一般的なレシプロエンジン搭載車と同程度の寿命を確保しており、車両本体の保証期間も5年10万kmを目安にしているところが増えました。
耐久性こそデメリットにはなりませんが、レシプロエンジンに比べると不便な点が多々あります。そのひとつが自宅充電の設備です。早くフル充電させるためには200Vの充電設備が必要です。
一戸建て車庫付きであれば問題なく設置できますが、集合住宅では専用の充電設備が持てないため、必然的に公共の充電ステーションに頼らなければなりません。
充電ステーションは増えているといってもフル充電には「6〜8時間」、8割の急速充電でも「30〜40分」が必要です。その間、公共の充電ステーションに置きっぱなしでは盗難の心配が出てきますし、他の充電したいユーザーにも迷惑が及びます。
電装品を多用すると航続距離が不安定になるのもデメリットのひとつです。とくに夏場や冬場、エアコンやヒーターを頻繁に使うと電力消費が激しくなるので走行距離が極端に落ちると言われています。充電時間の短縮や電力消費を抑える電装品の搭載などがこれからのEVに求められています。
EVの車両本体価格はシンプルな構造を考えると依然、高価である感が否めません。
フォルクワーゲンのe-GOLFを例に取ると、もっとも安いベースモデルでも「499.0万円」、これがガソリンエンジンモデルになると最新装備を搭載したTSIのHighline Tech Editionでも「352.9万円」、約150万円の差が生まれています。
高価の原因はバッテリーの原料であるリチウムを安定供給していないことです。現在、EV生産が加速していることからリチウムの原料価格が高騰しているため、バッテリーの安価供給ができない状態になっています。
EVがもっと普及し、併せてリチウムの生産方法が改善されればEVは一気に安く生産できる可能性があります。現在、日本では海水からリチウムを抽出する研究が進められています。
ただし、EVは「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」の対象になっており、これを利用すれば若干、安く購入できます。補助金制度は国と地方団体の両方から受けられることに加え、取得税や重量税、登録翌年度の自動車税も減税されるので維持費の面でも優遇されます。
補助金制度の手続きは個人でも可能ですが、かなり面倒なので購入時、ディーラーに申請してもらうことをおすすめします。補助金は航続距離によって変わり、リーフを一例に取ると最大80.0万円が補助されます。
なお、補助金を受ける場合は購入後一定期間の売却禁止や災害などの非常時に電力供給を行うなどの条件があります。それらの条件をしっかり確認した上で補助金精度の利用を決めてください。
日本国内は現在、圧倒的にHV(ハイブリッド)が強い状況なので国産EVの普及が遅れています。
車種の選択は限られていますが、それでも輸入EVは少しずつ多くなっています。国内で購入できるEVを紹介します!
新車価格 | 324.3〜403.2万円 |
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ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4480mm×1790mm×1540mm |
乗車定員 | 5名 |
一充電走行距離(JC08モード) | 570km(62kWhバッテリー搭載車) |
最高出力 | 110kW〜160kW |
最小回転半径 | 5.4m |
これまで国内の乗用EVは三菱のi-MiEVを始めとしていろいろな車種が登場しましたが、販売成績が伸び悩んだことから次々に生産終了しています。その状況下で孤軍奮闘しているのが日産のリーフです。
初代は2010年に登場、世界累計販売台数20万台を記録しました。2017年にフルモデルチェンジを実施、2代目となった現行モデルは一充電走行距離を大幅に伸ばした他、さまざまな改良が加えられています。
そのひとつがノートで採用された「e-Pedal」です。アクセルペダルのON/OFFだけでブレーキングから停止までが可能になっており、ドライバーの運転負担を軽減させます。
その他、高速道路で操縦をサポートするプロパイロットやスイッチを入れるだけで駐車を自動的に行うプロパイロットパーキングなど、日産の最新技術が満載されています。国内では唯一の乗用EVですが、その性能は欧州の先進EV以上の実力があります。
新車価格 | 499.0〜534.0万円 |
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ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4265mm×1800mm×1480mm |
乗車定員 | 5名 |
一充電走行距離(JC08モード) | 301km |
最高出力 | 100kW |
最小回転半径 | 5.2m |
フォルクスワーゲンのe-Golfは2017年10月に発売されました。あえてEV的未来志向のデザインを取らず、レシプロエンジン搭載車と同じエクステリアを採用しているのが特徴です。
違いはフロントマスクの水平なブルーラインとe-Golfのエンブレムだけで、電力供給のハッチも急速充電は従来のガソリン注入口、普通充電はフロントのエンブレムになっているため、見分けはほとんどつきません。
充電方式は日本各地にある充電ステーション「CHAdeMO」に対応しているのでケーブルさえ用意しておけば、いつでもどこでも急速充電できます。家庭用200Vであれば約6時間がフル充電の目安となります。
車両本体価格はやや高めですが、ゴルフに搭載されている最新の予防安全装置が搭載されている他、上級モデルのPremiumを選べば12.3インチの大型ディスプレイによるデジタルメータークラスターやレザーシートなどが標準装備されます。
未来志向のデザインよりもオーソドックスなエクステリアのEVに乗りたいという人に最適な車種です。
新車価格 | 543.0万円 |
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ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4020mm×1775mm×1550mm |
乗車定員 | 5名 |
一充電走行距離(WLTCモード) | 360km |
最高出力 | 125kW |
最小回転半径 | - |
同じドイツのEVでもe-Golfと対称的なのが先進的なBMWのi3です。専用ボディは下部のドライブモジュールと上部のライフモジュールに分かれており、パッセンジャーセルとなるライフモジュールはBMW量産車で初めてカーボンファイバー強化樹脂を採用、車重が重くなりがちなEVで1300kgを実現しました。
画像引用:公式サイト
乗員用のドアは観音開き、ボディカラーにはi3専用色を用意、エクステリアのシルエットは未来志向となっており、他のBMWと共通している点はキドニーグリルだけです。
エクステリアに対してインテリアはメーターパネルのディスプレイを除けば以外にオーソドックスで、BMWの雰囲気を強く残しています。
ダッシュボードに木目調パネルを多用したLODGEやラグジュアリー感を高めたSUITEなど3タイプのインテリアが用意されています。ボディサイズが比較的コンパクトなので、シティユースに使いたい人向きのEVです。
新車価格 | 960.0〜1705.9万円 |
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ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4979mm×1445mm×1964mm |
乗車定員 | 5名 |
一充電走行距離(EPAモード) | 401〜507km |
最高出力 | 311〜581kW |
最小回転半径 | - |
テスラはシリコンバレーに本社を置くEVやソーラーパネルを販売している会社で2004年4月に創設されました。まさにEV時代の申し子的存在で、フラッグシップモデルとなるのがModelSです。
4ドアセダンでありながらクーペを思わせる流麗なエクステリアを持ち、一見、EVには見えないほどオーソドックスなデザインですが、ラジエターグリルを持たないフロントマスクがEVであることを物語っています。
画像引用:公式サイト
フロントとリアにそれぞれモーターを配置したAWD(常時4輪駆動)であることが大きな特徴で、走行性能は現在販売されているEVの中ではトップクラスを誇っています。ハイグレードのルーディクラスは0→100km/hまでわずか2.6秒とフェラーリやポルシェをしのぐ加速を発揮します。
ハンドルやアクセル、ブレーキといった基本操作以外はほとんどタッチパネルに集中させ、将来の自動運転化に備えたプログラムを搭載するなど、いかにもシリコンバレーのEVといった仕上がりです。
サービス体制や充電時間の長さなど国内で乗るには問題点があるものの、注目度抜群の車種であることは間違いありません。
世界をリードする自動車メーカー、メルセデス・ベンツは意外にもこれまでEVを販売していませんでしたが、2020年半ば頃、満を持してEVの発売に踏み切る予定です。EVはSUVタイプでメルセデス・ベンツのEV専用ブランド、Mercedes-Benz EQから販売されます。
2018年9月、スゥエーデンのストックホルムで行われたワールドプレミアに登場したEV「EQC」は全長4761mm、全幅1884mm、全高1624mmのミドルサイズSUVで、モーターをフロントとリアに配置する4WD機能を備えています。システム合計の最大トルクは76.5kgmなのでかなりパワフルです。
画像引用:公式サイト
リチウムイオン電池の蓄電容量は80kWhと大きく、欧州基準による航続距離は約450kmとなっています。メルセデス・ベンツの最新技術が満載されることは間違いなく、登場が楽しみな車種です。
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